2007年 03月 19日
人は人との関係で幸せだったり不幸だったり・・・
ただ小説をそのまま映画化すればどうしようもなく、ただ暗い一方の救いのない映画になるから、あんなふうにコメディーというかミュージカル風に仕立てたんだろうなあと思われる映画だった。
父親との関係において満たされないものがあった松子は、それを交際する男に求めようとする。しかし、そんなことに応えられる男に出逢うことはできず、破滅への道をどんどん突き進む。多分松子が転落のきっかけとなる事件に出会わず、松子に好意をもっていて松子もまんざらでなく感じている同僚との交際が続いたとしても、多分松子は彼に応えられないものを求めてしまい、その関係は上手くいかなかったのではないだろうかと思われる。
女教師の転落ものでは、国は違うがテネシーウィリアムズの「欲望という名の電車」のブランチに似ているところがあるかもしれない。彼女も自分の満たされないものを男性との関係において求めようとして失敗している。
あるはずの無いところで、無いものを探そうとすることに無理がある。最後に松子がつきあった龍洋一に逃げられてからの松子は、人との関係を持つことに絶望し自暴自棄の生活を送る。旧友に会ったことをきっかけにもう一度人生をやり直そうとした時、松子の人生はリンチ殺人によって暴力的に幕を閉じさせられてしまう。なんともやりきれない結末だ。
原作を読んでないからなんともいえないけれど、人の幸せも不幸も身の回りの人との人間関係が満たされると感じられるものであるのか、ないのかということに大きく関わっていると感じた。実際は松子を愛していながら、その愛を松子に伝えることができなかった父親との関係において、松子は不幸だった。それを引きずったまま大人になってしまったことに松子の不幸の原因はあると思う。この人生において彼女はそのことに気づくことができなかった。もし気づいていれば、修正することができた人生だろうと思う。
何よりも大切なのは 誰が愛さなくても自分で自分を精一杯愛することなんじゃないだろうかと思う。他人に求めるよりまず自分に求めることが一番確実である。
by whitefullmoon
| 2007-03-19 19:12
| 映画